「そもそも未経験だけど、兼業農家を始められるの?」
「副業で農家を始めてみたいけど、ハードルが高そう」
「兼業農家って辛そう・・・」
「兼業農家」という言葉を聞くと、上のようなイメージをお持ちでないですか?プラスのイメージよりマイナスのイメージを持たれている方は少なくありません。
このイメージのせいで、兼業農家へ踏み出しにくく感じます。
この記事では兼業農家で育ってきた私が、兼業農家を少しでも考えている方に向けて解説していきます。そもそも、兼業農家とはどういう意味なのか?農業の種類や兼業農家の始め方からメリットデメリット・稼げるのかをお伝えします。
1.兼業農家とは?
兼業農家の定義
兼業農家とは、”世帯員の中に兼業従事者が1人以上いる農家をいう。”
つまり兼業農家とは、農業と他の仕事で収入を得て、生計を立てている農家を指します。
収入の割合によって、以下の2つの兼業農家に分類されます。
第1種兼業農家
第1種兼業農家:農業所得の⽅が兼業所得よりも多い兼業農家
農業をメインの仕事とされている農家です。農業の稼ぎが他で携わっている仕事より多い農家をさしています。
第2種兼業農家
第2種兼業農家:兼業所得の⽅が農業所得よりも多い兼業農家
農業以外の仕事をメインとしている農家です。サラリーマン等、他の仕事の収入が多い農家をさしています。農業を副業としている方たちですね。
収入によって兼業農家でも区別されることがわかりました。
では、収入を得るために、農業をして稼ぐとはどういうことなのでしょうか?
農業として区分されている項目を見ていきましょう。
2.農業の種類
総務省によると、農業の中で以下の分類に分けられると解説しています。
管理、保持的経済活動を行う事業所/耕種農業/畜産農業/農業サービス業/園芸サービス業
| 大分類 | 中分類 | 小分類 |
| 農業 | 管理、保持的経済活動を行う事業所 | 管理事務を行う本社等
その他の管理、保持的経済活動を行う事務所 |
| 耕種農業 | 米作農業
米作以外の穀作農業 野菜作農業 果樹作農業 花き作農業など |
|
| 畜産農業 | 酪農業
肉用牛生産業 養豚業 養鶏業など |
|
| 農業サービス業 | 穀作サービス業
野菜作・果樹作サービス業 |
|
| 園芸サービス業 | 園芸サービス業 |
農業と聞いてイメージするお米つくりや野菜作りは耕種農業という分類に含まれます。
他にも、畜産農業や農業・園芸サービス業も中分類として区分されています。確定申告や損益を計算するための事務的作業を表す管理なども農業の仕事です。
ここまでで、農業の種類がわかりました。
では実際、どのように兼業農家を始めればよいのでしょうか?
今回は、米作や野菜等の耕種農業に絞って解説していきます。
3.兼業農家の始め方
保有している土地を利用
ご家族が農家で、土地を所有しているならすぐに始めることができます!
まずは手伝ってみる事から始められます。手伝うことにより、今後の将来像をイメージできます!
家族が育てている作物とは違う、新しい作物を育ててみたいのであれば、少しだけ土地を貸してもらえるよう伝えてみましょう!新しいチャレンジとなります!
そして何よりも、身近な人からアドバイスを受けられます!ちょっとした疑問や、的確なアドバイスをすぐにもらえるでしょう。
市民農園
自分の農地を持っていなくても、市民農園を利用すれば始められます!
市民農園とは、行政が運営していて、面積の農地を借りることができます。つまり、農地をレンタルすることができます!
契約方法は、月額や年額など定められた料金を払い、農地を契約・栽培できるというシンプルな流れとなります。契約する前に、利用方法や疑問点、注意点をプロの農家さんに質問できるので安心して兼業農家を始めることができます。
常駐スタッフさんがいる市民農園もあるので、始めてからもアドバイスやフォローを受けることができるのは大きな利点です。
シェア農園
市民農園とニュアンスが似ていますね。
市民農園は自治体が運営していますが、シェア農園は民間の企業が運営しています。
利用方法は市民農園と同じように契約をして土地を借りて、作物を育てることができます。
多くのシェア農園はレンタル費用の中に種や苗代が含まれています。
また、畑を耕すことに必要な農工具も準備されていて、シェアして利用可能です!
手軽に農業を始めることができます。
農業求人を活用
実際に求人に応募してアルバイトをすることもできます。短期のアルバイトや、収穫の繁忙期のみなど多様な形態、時間帯で募集しています。
自分に合った時間帯で実際に働いて、体験することができます。農家の一員として実際に働いて学ぶ体験はとても貴重なものとなります。
4.兼業農家のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| ・地産地消ならぬ自産自消
・収入を得る ・リスクを最小限におさえることができる |
・時間と労力
・成長まで時間がかかる |
メリット
・地産地消ならぬ自産自消
地元で生産されたものを、地元で消費するという地産地消。自分で生産・消費できるのがいわゆる自産自消です。自分で作ったものを自分で味わえる喜びだけではなく、環境にも優しい生活ができます。
令和5年度の日本のカロリーベース総合自給率は38%と先進国の中でも最低水準です。その数字を押し上げることにも貢献できます。
・収入を得る
自分で作った作物で収入を得られるのは大きなメリットです。今ついている仕事とは別の収入源を確保することができます。コツコツ取り組み、改善を重ね、質や量を上げていくことができます。収入に直結していくことでしょう。
・リスクを最小限におさえることができる
兼業農家として少しずつ始めていくことはリスクを抑えることにつながります。
試行錯誤して頑張ったが、自分には合わなかった。病気に罹患して、中断しなければならない。家族の都合で一度離れなければならない。様々な要因が農家を離れなければならない要因となります。少しずつ投資をしていけば、リスクは最小限に抑えることが可能です。
デメリット
・時間と労力
空いている時間や休日に作業するので、時間を割かなければなりません。また、作業がメインとなるので体力も必要です。慣れるまでは、心身ともに大変かもしれません。
・成長まで時間がかかる
育てる作物により、成長スピードは違いますが、取り組み始めてから収穫まで時間が必要になります。また、専業の方と比べると、農業に充てられる時間が少ないのでさも感じることもあるでしょう。
5.兼業農家は稼げるのか
兼業農家でも稼ぐことは可能です!
実際、農林水産省発表の令和5年農業経営体の経営収支によると、
全農業経営体(専業・兼業含め全ての農家)の1年間の収益は1,247.9万円、
農業経営費は1,133.7万円、
差引いた農業所得は114.2万円(前年比16.3%増加)
という結果です。
もちろん、農業に取り組む時間・力の入れ方で収入が変わってきます。しかし、上記統計の通り、マイナスではなく、農家で収益をえられることがわかります。
6.まとめ
・兼業農家とは、農業以外でも収入がある農家であり、収入の割合に応じて第1種と第2種にわかれる。
・兼業農家を始めるには、家族の農地を活用したり、市民農園やシェア農園等様々ないりぐちがある
・メリット・デメリットも考慮し、収益を生むことができる。
兼業農家を始めるにあたって、定義からメリット・デメリットまで解説してみました。ひとつひとつ気持ちや考慮すべき点をクリアし、幸せな兼業農家生活を始めてください!
コメント